夜光杯雑記帳

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【常用漢字表】漢検2級の漢字/「固唾」は飲めないのか

「固唾」は、常用漢字表の付表では「かたず」と読みます。このブログおなじみの「デジタル大辞泉小学館)」では、「固唾」は「緊張して息を凝らしているときなどに口中にたまるつば。」と解説されています。これを「飲む」かどうかですが、大辞泉では「呑む」としており、広辞苑大辞林も「呑む」です。3辞典とも「呑む」ですが、なぜ「飲む」でないのかは説明されていません。こういうときは「コトバンク」提供の「精選版 日本国語大辞典」を見るのですが、こちらも「呑む」となっています。初出は米沢本の沙石集(1283)らしいのですが、「飲む」でない理由は不明です。
では「呑む」の意味はどうだ、ということで大辞泉を見ますと、見出しの立て方としては、「の・む【飲む/呑む】」です。これは広辞苑大辞林も同じです。 ならば、「固唾を飲む」でもいいじゃないかという気がしてきました。念のため日本国語辞典大辞典も見ようと思ったのですが、ウェブ上で探し切れず、やむなく図書館に行って確認したところ、見出しは「の・む【飲・呑】」です。使い分けらしきものも書いてあります。「飲」は「水や酒などをのむ。また、液体と一緒にのみこむ」とあり、「呑」は「物をかまずにのみこむ。まるのみする」とあります。すると、飲食物として取引できるような物体をのむ場合は「飲」で、その他の何かをのむ場合は「呑」となり、「固唾」は飲食物でないから「呑」、という感じでしょうか。
とりあえずの結論ですが、固唾は「飲む」ではなく「呑む」(根拠は弱い)、ただし、「呑」は常用漢字ではないから「のむ」と書く…ということでお茶を濁しておきます。