夜光杯雑記帳

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【常用漢字表】漢検準2級の漢字/「貨幣」と「紙幣」

「貨幣」は「かへい」、「紙幣」は「しへい」と読みます。このブログおなじみの「デジタル大辞泉小学館)」では、「貨幣」は「商品の価値尺度や交換手段として社会に流通し、またそれ自体が富として価値蓄蔵を図られるもの。鋳貨・紙幣のほかに、当座預金などの信用貨幣を含めていう場合が多い。」と解説され、「紙幣」は「素材が紙片である貨幣。一般に政府紙幣や銀行券をいうが、狭義には政府紙幣をさす。さつ。」と解説されています。これらの解説においては、「紙幣」は「貨幣」の一部であるかのような解説となっています。
どうやら法律上の用語としてはちょっと違うようでして、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律(昭和62年法律第42号)」の条文を転記します。

(通貨の額面価格の単位等)
第2条 通貨の額面価格の単位は円とし、その額面価格は1円の整数倍とする。
2 1円未満の金額の計算単位は、銭及び厘とする。この場合において、銭は円の100の1をいい、厘は銭の10分の1をいう。
3 第1項に規定する通貨とは、貨幣及び日本銀行法(平成9年法律第89号)第46条第1項の規定により日本銀行が発行する銀行券をいう。

(貨幣の製造及び発行)
第4条 貨幣の製造及び発行の権能は、政府に属する。
2 財務大臣は、貨幣の製造に関する事務を、独立行政法人造幣局(以下「造幣局」という。)に行わせる。
3 貨幣の発行は、財務大臣の定めるところにより、日本銀行に製造済の貨幣を交付することにより行う。
4 財務大臣造幣局に対し支払う貨幣の製造代金は、貨幣の製造原価等を勘案して算定する。

(貨幣の種類)
第5条 貨幣の種類は、500円、100円、50円、10円、5円及び1円の6種類とする。
2 国家的な記念事業として閣議の決定を経て発行する貨幣の種類は、前項に規定する貨幣の種類のほか、1万円、5000円及び1000円の3種類とする。
3 前項に規定する国家的な記念事業として発行する貨幣(以下この項及び第10条第1項において「記念貨幣」という。)の発行枚数は、記念貨幣ごとに政令で定める。

上記の法律では、「貨幣」を狭く定義しており、「貨幣」と日本銀行券を合わせて「通貨」といいますので、「貨幣」の一部が「紙幣」という関係ではありません。「貨幣」の多義性には注意が必要でしょう。また、通貨については、大辞泉の解説でも触れられていますが、預金通貨を含めて考える必要があり、一国のお金の流れを管理していくのは難しい仕事だろうなと思います。