夜光杯雑記帳

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【常用漢字表】漢検4級~3級/なぜ「敏速」

 「敏速」は「びんそく」と読みます。このブログおなじみの「デジタル大辞泉小学館)」では、「敏速」は「反応・行動のすばやいこと。また、そのさま。」などと解説されています。
 政府提供の「e-GOV法令検索」で「敏速」を調べると、2件ヒットしました。件数が少ないので、2件とも見てみましょう。

海事代理士法(昭和26年法律第32号)
新たな事務所の設置の登録)
第10条 (略)
2 地方運輸局長は、あらたな事務所の設置により当該海事代理士が、みずから誠実且つ敏速にその業務を処理することができなくなるおそれがあると認めるときは、前項の許可をしてはならない。
(誠実等の義務)
第18条 海事代理士は、誠実且つ敏速に、みずからその事務を処理しなければならない。

○水位及び流量調査作業規程準則(昭和29年総理府令第75号)
(こう水流量観測)
第40条 こう水(第18条参照)時の流量観測は、特に敏速なる観測を必要とするため、次条から第45条までに規定する方法により行う。この場合において、流量を求める方法については第24条の規定を準用する。

 なぜ「敏速」を使ったのかという点に引っ掛かりを感じたのですが、「敏速」を使用する法令が2件であるのに対し、「迅速」を使用する法令数は466件もあり、「迅速」のほうが多数派です。上記法令の「敏速」についても、「迅速」に置き換えて問題ないように思います。
 また、海事代理士法第10条をよく見ると、見出しは「新たな事務所」となっているのに対し、第2項では「あらたな事務所」となっており、漢字だったり平仮名だったりしています。そんなところから考えると、条文作成の作業に今一つ気合が入ってなかったということなのかもしれません。