夜光杯雑記帳

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【常用漢字表】漢検4級~3級/「吏員」と「官吏」

 「吏員」は「りいん」、「官吏」は「かんり」と読みます。このブログおなじみの「デジタル大辞泉小学館)」では、「吏員」は「公共団体の職員。公吏。」と解説され、「官吏」は「1 国家公務員のこと。役人。官員。」「2 明治憲法下で、天皇の大権に基づいて任命され、国家に対し忠順かつ無定量の公務に服した者。高等官および判任官をさす。」などと解説されています。
 政府提供の「e-GOV法令検索」で調べると、「吏員」は109件、「官吏」は178件でした。こういう場合、「吏員」と「官吏」が両方登場する法令を見るのですが、とりあえず、「日本国憲法(昭和21年憲法)」を見ておきましょう。

第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

第73条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。

第93条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
② 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

 大辞泉の解説どおり、日本国憲法では「吏員」が地方公務員で、「官吏」が国家公務員、というふうに受け取れるのですが、ちょっとだけ踏み込みが足りないかなと思います。「吏員」も「官吏」も今ではあまり使わないのですが、「吏員」は職名の中に若干残っているのに対し(例えば「徴税吏員」)、「官吏」は国家公務員の職名の中に残っていないような気がします。つまり、「吏員」は今なお使われていますが、「官吏」は概ね絶滅しているのが現状だろうと思います。