夜光杯雑記帳

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【常用漢字表】漢検10級~7級/「無礼」の言葉と「無礼」の言

 「無礼」は「ぶれい」と読みます。このブログおなじみの「デジタル大辞泉小学館)」では、「無礼」は「礼儀にはずれること。また、そのさま。失礼。不躾(ぶしつけ)。無作法。」などと解説されています。また、デジタル大辞泉には、失礼・失敬・無礼の用法も解説されており、「「無礼」は古風な語で、目上に対して身分をわきまえないという意味合いを含む。」と書かれています。
 政府提供の「e-GOV法令検索」で「無礼」を調べると、2件ヒットしました。件数が少ないので、2件とも見てみましょう。

地方自治法(昭和22年法律第67号)
第132条 普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。

○国会法(昭和22年法律第79号)
第119条 各議院において、無礼の言を用い、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。

 上の2つの法律はどちらも昭和22年4月に公布されていますが、両者を比べると異同があります。地方自治法に書かれている「会議又は委員会においては」は、国会法にはありません。地方自治法では「議員は」という主語がありますが、国会法には主語が書かれていません。地方自治法の「無礼の言葉を使用し」に対して国会法は「無礼の言を用い」となっています。一方、「又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない」の部分は全く同じです。
 ここからは推察なのですが、制定過程において両者の文言を合わせようという試みはあったのではないでしょうか。ところが、何らかの理由があって合わせ切れなかったというところじゃないかと思います。どうしても譲れない事情があったのでしょうが、合わせても良かったような気がします。