夜光杯雑記帳

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【常用漢字表】漢検2級の漢字/食品ロスの問題は「真摯」に

「真摯」は「しんし」と読みます。このブログおなじみの「デジタル大辞泉小学館)」では、「真摯」は「まじめで熱心なこと。また、そのさま。」と解説されています。政府提供の「e-GOV法令検索」で「真摯」を調べると、4件ヒットしました。4件中3件が前文での使用です。理念先行で客観的評価がほぼ不可能な用語は、前文に置かれがちですね。4件のうち、「食品ロスの削減の推進に関する法律(令和元年法律第19号)」前文の最初の段落のみを転記しますと、次のとおりです。

 我が国においては、まだ食べることができる食品が、生産、製造、販売、消費等の各段階において日常的に廃棄され、大量の食品ロスが発生している。食品ロスの問題については、2015年9月25日の国際連合総会において採択された持続可能な開発のための2030アジェンダにおいて言及されるなど、その削減が国際的にも重要な課題となっており、また、世界には栄養不足の状態にある人々が多数存在する中で、とりわけ、大量の食料を輸入し、食料の多くを輸入に依存している我が国として、真摯に取り組むべき課題である。

「真摯」ヒット4件のうち、前文ではなく条文中での使用は1件。「原子力基本法(昭和30年法律第186号)」第2条第3項です。転記しますと次のとおりです。

 エネルギーとしての原子力利用は、国及び原子力事業者(原子力発電に関する事業を行う者をいう。第2条の3及び第2条の4において同じ。)が安全神話に陥り、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故を防止することができなかったことを真摯に反省した上で、原子力事故(原子力損害の賠償に関する法律(昭和36年法律第147号)第2条第1項に規定する原子炉の運転等に起因する事故をいう。以下同じ。)の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力をしなければならないという認識に立って、これを行うものとする。

会議や事故の具体的日付が入っているあたりは、「民法」や「刑法」といった法律らしい法律とは違う雰囲気を感じるのですが、「真摯」という用語が入ったから法律っぽくないのか、法律っぽくないから「真摯」という用語が入ったのか。それは分かりませんが、文学的な良い味が出てると思ったので紹介しました。