「夫妻」は「ふさい」、「夫婦」は「ふうふ」と読みます。このブログおなじみの「デジタル大辞泉(小学館)」では、「夫妻」は「夫と妻。夫婦。」と解説され、「夫婦」は「婚姻関係にある男女の一組。夫と妻。めおと。」と解説されています。この両者の違いについて、デジタル大辞泉では「夫妻」の「補説」として、「「夫婦」の、やや改まった言い方。「私たち夫妻」のように、自分たちについては使わない。「ご夫妻でおいでください」「有名人夫妻」のように、よその夫婦に対して使う。」としています。これで使い分けが分かりました。
さて、次は法令検索です。政府提供の「e-GOV法令検索」で調べてみると、次のとおりでした。
「夫妻」:0件
「夫婦」:95件
ヒット件数にこれだけ差が開くのは理由があります。まず、「日本国憲法(昭和21年憲法)」に登場するのは「夫婦」です。第24条第1項に「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。」とあります。あとは言葉の汎用性の違いでしょうか。
なお、「夫婦」95件の中身を見てみると、「夫婦財産契約」として登場するのが67件もあります。民法を転記しますと、次のとおりです。
○民法(明治29年法律第89号)
(夫婦財産契約の対抗要件)
第756条 夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
婚姻前の所有財産の多い夫婦が離婚の際に財産分与で揉めるのを未然予防しておきましょう、という制度です。食事とデザートが別腹であるように、「永遠の愛」と財産は別問題ですから、思い当たる人は弁護士さんと要相談ですね。