夜光杯雑記帳

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【常用漢字表】漢検4級~3級/「占拠」と占有

 「占拠」は「せんきょ」と読みます。このブログおなじみの「デジタル大辞泉小学館)」では、「占拠」は「1 ある場所を占有して他人を寄せつけないこと。」「2 占領すること。」と解説されています。
 政府提供の「e-GOV法令検索」で「占拠」を調べると、5件ヒットしました。その中から、今回は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)」の第2条第7項で「独占的状態」を定義する部分の第1号を紹介します。

一 当該1年間において、一の事業者の事業分野占拠(当該一定の商品並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品で国内において供給されたもの(輸出されたものを除く。)又は国内において供給された当該役務の数量(数量によることが適当でない場合にあっては、これらの価額とする。以下この号において同じ。)のうち当該事業者が供給した当該一定の商品並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品又は役務の数量の占める割合をいう。以下この号において同じ。)が2分の1を超え、又は2の事業者のそれぞれの事業分野占拠率の合計が4分の3を超えていること

 二重カッコ書きなどがあって読みづらいのですが、こういうときは、まず、カッコを除いた部分を読んで大意をつかむのも一つの手です。上の条文では、カッコ書き部分を除いて下線を引いています。
 1社のシェアが2分の1を超えてるか、2社以上の合計シェアが4分の3を超えてるか、基本的には数量で判断されるということですね。今回は「占拠」という言葉に引っ掛かったのですが、この法律には「占有」も登場します。書き分けているのですね。

第2条の2 この章において「市場占有率」とは、一定の取引分野において一定の期間内に供給される商品若しくは役務の数量のうち1若しくは2以上の事業者が供給し、若しくは供給を受ける当該商品若しくは役務の数量の占める割合又は一定の取引分野において一定の期間内に供給される商品若しくは役務の価額のうち1若しくは2以上の事業者が供給し、若しくは供給を受ける当該商品若しくは役務の価額の占める割合をいう。

 ここで大辞泉に戻って「市場占有率」を調べると、「ある製品の売上高が、産業全体の売上高に占める割合。市場占拠率。マーケットシェア。シェア。」と解説されています。法律では「商品若しくは役務」が対象ですから、「製品」と言ってしまうと、ちょっと違うなという気はしますが、正確に書こうとすると法律のカッコ書き部分なんかも含めて書くことになりますので、どこで割り切るかという問題なのだろうと思います。