夜光杯雑記帳

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【常用漢字表】漢検準2級~2級/臘虎は「虎」ではない

 「虎」は「とら」と読みます。このブログおなじみの「デジタル大辞泉小学館)」では、「雰囲気」は「1 ネコ科の哺乳類。ライオンと並ぶ大形の猛獣。体長約2メートル。全身黄褐色で黒い横縞がある。シカ・イノシシなどを捕食。沿海州から朝鮮半島・中国を経てインド・ジャワ・バリ島まで広くアジアに分布し、主に密林に単独またはつがいで暮らす。シベリアトラ・ベンガルトラなどの亜種に分けられる。乱獲により数が激減。」「2 酒に酔って言動が荒くなった人。酔っぱらい。」「3  「阪神タイガース」のこと。」などと解説されています。
 政府提供の「e-GOV法令検索」で「虎」を調べると19件ヒットしたのですが、その中に「臘虎膃肭獣猟獲取締法(明治45年法律第21号)」があります。法律名だけでは何の法律か分からなかったのですが、検索するとすぐに分かりました。「臘虎」はラッコ、「膃肭獣」はオットセイです。この法律は、「臘虎」と「膃肭獣」の猟獲についての規制法なのですね。せっかくですから、法律を見てみましょう。

第1条 農林水産大臣農林水産省令ノ定ムル所ニ依リ臘虎又ハ膃肭獣ノ猟獲ヲ禁止又ハ制限スルコトヲ得臘虎又ハ膃肭獣ノ獣皮又ハ其ノ製品ノ製造若ハ加工又ハ販売ニ付亦同ジ
② 前項ノ規定ハ同項ノ規定ニ依ル禁止又ハ制限ニ違反シテ猟獲シ製造シ加工シ又ハ販売シタル臘虎膃肭獣又ハ其ノ獣皮若ハ其ノ製品ノ所持ニ付之ヲ準用ス

 「臘」の字を法務省の「戸籍等統一文字情報」サイトで調べると、戸籍統一文字番号334860、音読み「ロウ」「リョウ」、JIS第2水準です。ということは漢検1級に出題される可能性はあるわけです。
 デジタル大辞泉に戻って「らっこ」を調べると、「《アイヌ語から》イタチ科の哺乳類。海で生活し、体長約1.2メートル、尾長40センチ。全体に黒褐色から灰褐色で、四肢の指に水かきがある。海上であおむけに浮かび、腹の上に石をのせ、アワビ・ウニなどを打ちつけ殻を割って食べる。かつては北太平洋沿岸に広く分布したが、すぐれた毛皮のために乱獲されて激減、保護されている。」と解説されています。「おっとせい」は「アシカ科の哺乳類。体長は雄が約2メートル、雌が約1メートル。頭は丸く、四肢はひれ状で、全身に刺毛と綿毛が密生。北太平洋に分布し、夏、小さな島に多数集まり、一夫多妻の集団をつくって繁殖する。毛皮は良質だが、国際条約によって保護されている。ウニウ。」と解説されています。
 トラもラッコもオットセイも、乱獲された過去を持っているのですね。日本国内でのラッコ飼育頭数は減ってきており、現在3頭。三重に2頭、福岡に1頭です。福岡のラッコを見てきたときの写真はこちら