夜光杯雑記帳

小ネタが輝く、万華鏡のようなブログを目指します

【常用漢字表】漢検準2級~2級/「遺憾」は感想?

 「遺憾」は「いかん」と読みます。このブログおなじみの「デジタル大辞泉小学館)」では、「遺憾」は「期待したようにならず、心残りであること。残念に思うこと。また、そのさま。」と解説されています。
 政府提供の「e-GOV法令検索」で「遺憾」を調べると、1件ヒットしました。「医療法(昭和23年法律第205号)」の該当条文を見てみましょう。

第23条 第21条から前条までに定めるもののほか、病院、診療所又は助産所の構造設備について、換気、採光、照明、防湿、保安、避難及び清潔その他衛生上遺憾のないように必要な基準は、厚生労働省令で定める。
2 (略)

 広辞苑では「遺憾」は「思い通りにいかず心残りなこと。残念。気の毒。」と解説されており、何だか他人事のような印象を受けます。自分が加害者であるとき、被害者に対して使用すればその被害者の心情を逆なでしてしまうおそれのある言葉だと思っているのですが、ほかに書きようがなかったのかというのが今回の問題意識です。
 「○○のないように」というパターンなので、法律(政省令除く)における「のないように」の使用件数を調べると、498件ヒットしました。いろいろ試してみたところ、「ことのないように」489件、「行為のないように」16件、「支障のないように」5件と出ました。
 ここからは推測になりますが、医療法で「遺憾」を使ったものの、「遺憾」と言ってしまうと「それってあなたの感想でしょ?」という突っ込みが来そうなので、他の法令では避けられ続けて現在に至る、という感じじゃないでしょうか。1件だけ「遺憾」を使った理由は謎ですが、その後に「遺憾」が使われてこなかった現状を踏まえると、霞が関の遺憾感覚が垣間見えるような気がします。