「墓参」は「ぼさん」、「墓参り」は「はかまいり」と読みます。常用漢字表の中には、「墓参」も「墓参り」もあります。どう違うのだろうと思うのですが、このブログおなじみの「デジタル大辞泉(小学館)」では、「墓参」は「墓に参ること。墓参り。」と解説され、「墓参り」は「墓に参って拝むこと。特に、盂蘭盆(うらぼん)に先祖の墓にお参りすること。墓詣で。ぼさん。」と解説されています。
政府提供の「e-GOV法令検索」で調べると、「墓参」は5件、「墓参り」は2件でした。法律だけに絞ると、「墓参」2件、「墓参り」1件となりました。
○北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律(昭和57年法律第85号)
第2条第4項:北方地域への墓参のための訪問の事業
○中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成6年法律第30号)
第2条第5項:親族の訪問、墓参りその他の厚生労働省令で定める目的
○厚生労働省設置法(平成11年法律第97号)
第4条第102号:戦没者の遺骨の収集、墓参及びこれらに類する事業
ざっくりまとめると次のようになるだろうと思います。
北方領土→墓参
中国残留邦人→墓参り
戦没者→墓参
結果的に2対1で、「墓参り」は少数派となっていますが、「墓参」とすべきところをうっかり「り」が入ってしまった、ということはありえない話です。法律の制定過程において内閣と国会の法制局がしっかり審査しているので、そんな間抜けなことは起こりません。それぞれ制定時期が違いますので、2番手の中国残留邦人等~の制定過程において、「『墓参り』じゃなくて『墓参』とすべきでは?」「いやいや、ここは『墓参り』とすべきなんです」という議論があったのだろうと思います。何か理由があるのでしょうが、実効支配してるかどうかというのとは違うでしょうし、難しいですね。これはもう、このブログ名物の先送りということにしたいと思います。