夜光杯雑記帳

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【常用漢字表】漢検3級の漢字/「遵守」と順守

「遵守」は「じゅんしゅ」と読みます。これは漢字の試験で頻出の言葉だろうと思います。このブログおなじみの「デジタル大辞泉小学館)」で「遵守」を調べたところ、見出し語は「じゅん‐しゅ【遵守/順守】」となっており、「法律や道徳・習慣を守り、従うこと。循守。」と解説されています。広辞苑大辞林を見ますと、見出し語は同じく「じゅん‐しゅ【順守・遵守】」となっています。コトバンク提供の「精選版日本国語大辞典」はどうかと思って見ますと、見出し語は「じゅん‐しゅ【遵守・順守・循守】」となっていて、「循守」が加わりました。4辞典では、遵守・順守・循守の差異について何も言及していないので、「どれも同じです」と言い切っちゃって良い状況だろうと思います。とりあえず調べるというとき、この4辞典は非常にありがたい。
しかしながら、ここで終わってしまうと法令検索マニアの名折れなので、まだ続けます。それぞれ「e-GOV法令検索」で調べると、次のとおりでした。

第1位:「遵守」=625件 圧倒的多数!
第2位:「順守」=1件 少な!
第3位:「循守」=0件 ゼロか!

わずか1件の「順守」が使われているのは、「労働災害防止団体法(昭和39年法律第118号)」です。該当条文を転記しますと、次のとおりです。

(会員の順守義務等)
第41条 会員は、労働災害防止規程を守らなければならない。
2 会員である事業主の事業に係る就業規則は、労働災害防止規程に反するものであってはならない。
3 前2項の規定は、労働災害防止規程が会員の事業について適用される労働協約と抵触するときは、その限度においては、適用しない。

正直なところ、この事例も「遵守」で良いだろうと思うのですが、それは(あくまで)個人的な感想です。実は、地方公共団体において、条例や規則を新設したり改正したりするとき、こんな使用例調査を(もう少し真面目に)やっています。そして、言葉の意味が同じならば、なるべく多数の使用例がある用語に合わせようとします。これは国家公務員でも同様だろうと思います。今後、新しい法令ができて、その中で「じゅんしゅ」が使われるとき、それは「遵守」と書かれるか、「順守」と書かれるか、はたまた「循守」と書かれるか、注目してみてください。