夜光杯雑記帳

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【常用漢字表】漢検準2級~2級/結婚にしますか、「婚姻」にしますか

 「婚姻」は「こんいん」と読みます。このブログおなじみの「デジタル大辞泉小学館)」では、「結婚」は「夫婦になること。」などと解説されています。そして、「婚姻」は「1  結婚すること。夫婦となること。」「2 男女の継続的な性的結合と経済的協力を伴う同棲関係で、社会的に承認されたもの。法律上、両性の合意と婚姻の届け出によって成立する。」などと解説されています。2つの解説を比べると、「婚姻」のほうが「結婚」よりも多義的ですね。「結婚」も「婚姻」も常用漢字表に載っています。
 政府提供の「e-GOV法令検索」で調べると、「婚姻」が311件、「結婚」が46件でした。そのうち、「結婚」と「婚姻」の両方が使われているものを見れば、使い分けが分かるはずです。順番に見ていったのですが、「婚姻」が登場する使用例として多いのが、「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」という言い回しです。この言い回し中の「婚姻」は、先ほどの大辞泉の2つ目の意味で使われているわけです。「事実上結婚関係」という言い回しは、全法令中でゼロ件です。下記の条文は、「婚姻」ではなく「結婚」と書くと、関係各者の人権問題とも絡んできて、意味がかなり違ってくることになると思います。

○刑法(明治40年法律第45号)
(重婚)
第184条 配偶者のある者が重ねて婚姻をしたときは、2年以下の懲役に処する。その相手方となって婚姻をした者も、同様とする。

母体保護法(昭和23年法律第156号)
第26条 不妊手術を受けた者は、婚姻しようとするときは、その相手方に対して、不妊手術を受けた旨を通知しなければならない。