夜光杯雑記帳

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【常用漢字表】漢検10級の漢字/こどもの鉄道運賃を「大人」の半額より安く設定してよいか

「大人」は、常用漢字表の付表では「おとな」と読みます。このブログおなじみの「デジタル大辞泉小学館)」で「大人」を調べると、「おとな」のほかに、「うし」「だいじん」「だいにん」が出てきます。
さて、こどもの鉄道運賃が大人の半額であることは当たり前すぎて、その根拠を考える人はあまりいないでしょうが、それは、そのように鉄道会社が定めたから、というわけではありません。「鉄道運輸規程昭和17年鉄道省令第3号)」第10条を転記してみます。

第十条 鉄道ハ旅客ノ同伴スル六年未満ノ小児ヲ旅客一人ニ付少クトモ一人迄無賃ヲ以テ運送スベシ
② 割引乗車券ヲ以テ乗車スル旅客又ハ乗車位置ノ指定ヲ為ス列車若ハ客車ニ乗車シ特ニ小児ノ為其ノ座席ヲ請求スル旅客ニ付テハ鉄道ハ前項ノ規定ニ依ラザルコトヲ得
③ 鉄道ハ十二年未満ノ小児ヲ第一項ノ規定ニ依リ無賃ヲ以テ運送スルモノヲ除キ大人ノ運賃ノ半額ヲ以テ運送スベシ
④ 前項ノ規定ニ依ル運賃ニ十円未満ノ端数アルトキハ鉄道ノ定ムル所ニ依リ切上ゲ計算ヲ為スコトヲ得

では、こどもの鉄道運賃を大人の半額より安く設定することはできるでしょうか。「大人ノ運賃ノ半額ヲ以テ運送スベシ」をどう読むかですが、ここに裁量の余地はなく、半額よりも高くすることも安くすることもできません。ただし、半額に10円未満の端数があるときの計算については、「切上ゲ計算ヲ為スコトヲ」とありますので、こちらは裁量の余地があります。現実の取扱いとして、JR各社の旅客鉄道運賃は切り捨てですが、その他の鉄道会社は切り上げているところが多いだろうと思います。